「パニック」をどうとらえているか。

しずかプログラムver1-1

・思ったとおりにいかないと誰でも気分はよくないです。知的にご障害のある方が思う通りにならずにひどく気分を乱すことを俗にパニックと言い、しずかもパニックを起こすことがあります。

・しずかがパニックになるのは、そうなると強くおもっていたのにそうでなかった場合です。先日、焼うどんの納品に行ったときに、容器にはっていた製造者表示がはがれてしまいました。しずかが毎日貼って納品するのが習慣になっているもので、はがれた時には「のり、のり」と言って、修復しようとしました。しかし、納品の現場にのりがある訳なく、「のりがな-い、のりがな-い」と声を出しパニックになってしまいました。パニックになると、周辺の壁を手でドンドン叩いたり、父や母をつねったりします。

毎日わくわく広場に納品に出かけるのを楽しみにしています!

・時にパニックになるのがしずかなので、私は受け入れています。パニックが収まるまで待ちます。「だいじょうぶ」と穏やかにゆっくり声をかけ続けて待ちます。それ以外に方法はないのではないかと考えます。

・例えば、店舗にいるときなど、しずかが叩くと商品を傷つけてしまったり、何よりしずかの手が痛んでしまわないか心配なので、「叩かないよ」と強めに言うことはあります。しずかの手が壁などに強く当たらないように、しずかのこぶしをつかんだりすることはあります。

・パニックも経験を続けていくと、次はならなくなることもあります。しずかと、ほぼ毎日トレーニングジムに通っていますが、トレーニングの前に水素水を指定のボトルに2本(しずかの分と私の分)汲むのが、しずかのルーチンになっています。あるとき、1本のボトルに汲み終わり、次のボトルに汲もうとしたところ、給水機がクリーニングに入り、水素水が出なくなってしまいました。しずかは怒り、「ナンダー」と言って壁を叩き、トレーニングルームに入ってもしばらくその日は大変でした。

その日以後、ジムでしずかがボトルに水素水を注ぐたびにクリーニングにならないかとヒヤヒヤしていました。しばらく経った日に、1本水を入れたところで給水が止まりました(結構な確率だとは思うのですが、、、涙)。

しずかパニックになるのか」と覚悟した瞬間に「わかりました」としずかが呟いていて、さっさとトレーニングルームに向かっていました。クリーニングで給水が止まることもあのを受け入れたのです。なぜ受け入れたのかはよく解らないのですが、とにかく、しずかが一段成長したのを見られた気がしてうれしかったです。

・だから、パニックになる経験は大事だと私は信じています。パニックになっているしずかを見るのは、決して穏やかな気持ちでいられないことも多いし、何より本人が辛そうです。でも、しずかにパニックを起こさせないように、何ごとも先回りをしたり、行動の範囲を制限したりすることは、しずかの真の成長をさまたげることになると思うのです。水素水のように、変更を受け入れられる時もあり、その経験を積み重ねることで、今後、社会で生きていける人になると信じています。

多摩肉うどん 700円

・福祉従事者にあっては、一定時間でサービスを終えなければならず、パニックが起きぬよう先回りすることが多々あると思います(私もそうでした)。でも、先回りが当たり前ではなく、先回りしてパニックを避けることでご利用者が気持ちよくサービスを受けられる利益と、パニックを起こしてでも得られる社会経験を積むことの利益を比較して、どちらを取るのかを常に考えるのが大事だと思っています。

タイトルとURLをコピーしました